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「それではただいまから蒸しアツスイッチ入れます。はいONね」と言われたように、急に蒸し暑くなってしまったのだ。体に粘っこい空気がまとわり付いてるみたいで、いつもより動作が緩慢になってしまってるうら順なのだ
この時期になるとおいらには憂鬱になってくる事があるのだ。それは裏山に生い茂る無数の雑草の事。雑草なんて人が勝手に区別しただけだから、ホントはみんな命ある草花で平等なんだけど今回はお話の都合上、雑草とさせてもらうのだ
事の始まりは3年前。おいらは「裏山にしだれ桜の楽園を作り給え。ナム」というほとけさまの声を聞き、裏山にしだれ桜を植樹する事にしたのだ。すいません。ちょっとかっこつけましたホントはそれまで、おいらが思っていた事を単に実行に移したのだ。おいらが生まれてからこのかた裏山は一面の杉林と竹やぶに覆われて、うっそうとしていたのだ。ただでさえ日当たりが悪い上に、これ以上杉が大きくなったらこのお寺は闇に包まれてしまうと危惧し、おいらは思い切って広範囲に杉を伐採し、代わりに裏山一面にしだれ桜を植えようと思い立ったという訳幸いにとても腕利きの職人さんを紹介してもらい、見事に裏山の杉を切り倒してくれたのだ。それまで数回、別の人にも相談したものの匙を投げられたり、1度見たきり連絡をくれずじまいだったりしたのでこれはきっと職人泣かせな厳しい作業なんだろうなと思っていたのだ。かなりの急斜面で、しかも杉も結構成長していて数も恐らく100本近かったかも見ていてもハラハラするような危険な場所だったけど、キッチリとプロの仕事をこなして頂いたのだ。その後おいらは、同じ職人の親方にしだれ桜を植える計画も相談してみたのだ。すると、経験豊富な親方は「あいよっ。お安い御用でと快く引き受けてくれたのだ。何でも公共事業などであちこちに桜を植樹する仕事もした事があるとかで、桜や植樹の知識も豊富らしく、おいらにも色々教えてくれたのだ。その後、しだれ桜オーナーを募ったりして、裏山には56本の紅しだれ桜を植える事が出来、順調に成長しているのだ
さて、問題はその後・・・。しだれ桜はシカ除けの柵も1本1本に親方が取り付けてくれたので、食べられる事もなくスクスクと育って行ったのだ。何と植えたその年から数えるだけだけど花も咲いたし。しか~し、その年の夏からあるバトルが始まったのだその相手とは、山に生い茂る無数の雑草。桜を植える前も裏山の雑草は少しばかり草刈り機で刈ったりはしていたのだ。しかし、今度は裏山の見える部分ほぼ全面の手入れが必要になったのだ。植えたしだれ桜の苗木は3mから4mほどの高さ。山の雑草は油断しているとひと夏で余裕でそれ以上大きくなってしまうので、桜が雑草で埋もれてしまうのだ。そこで、ある程度の高さに生長するまではしっかりと周りの雑草を刈ってやらないといけないのだ。これは植樹した時から親方に「2、3年して桜が大きくなっちゃえばいいんだけんがねぇと甲州弁で言われていたので心つもりはしていたのだ。なので初夏と秋口の2回、親方とそのお仲間に山の雑草刈りをお願いしてきたのだ。単に草刈りと言っても普通の草刈りとはちょっと訳が違うのだ。何せ急斜面の上、切り倒して裁断した杉の木がゴロゴロしているので、歩くのも一苦労そんな中を親方たちは、あの鋭い刃が付いた草刈り機を背負って平気な顔をして草を刈ってくれるのだ。おいらも1度自分でやろうと思ったけれど、とても手に負えなかったので全て親方にお任せしていたのだ。
毎年そんな同じ作業を繰り返してもらい早や3年。今年も大分雑草軍団が伸びて来たので、おいらは偵察に裏山に登ったのだ。親方の言葉通り、しだれ桜は3年でけっこう大きくなっており、雑草が生えても前よりは気にならなくなってきているのだそれでも、中にはほおっておくとまずそうな気配のヤル気に満ちた雑草も目に入ったので、今回はおいらがそれらだけ伐採してみる事にしたのだ。アメリカのゴールドラッシュにいたようなお父さん達風にボロボロジーンズとデニムのシャツを着たおいらは、ナタとノコギリを腰に装着して山に突入したのだ運動不足がたたってか、久しぶりで登る斜面はなかなかきつかったのだ。足元は雑草がモッサリと生え、しかも油断しているとその下に、切り倒した杉の丸太が転がっているのでうっかりすると転んでしまいそうになるのだそれでも、気になった雑草、というか名前は知らないけど何かの苗木風な雑草をナタとノコギリで1本ずつ刈っていったのだ。1番手こずったのはびっしりとトゲが生えたもの。しかも、この草が1番多く生えているのでじつにやっかい。厚めのビニール手ぶくろをしていても油断すると、突き抜けて手や腕に刺さってくるのだいざ刈り始めると、次から次にあちこちの雑草が気になってしまい、予想以上に手間取ってしまったおいら。時計を見ると2時間以上過ぎていたのだ。もう少し刈りたい所があったけど、その日はそこでギブアップ。また次回にする事にしたのだ。
次の日は予想通りの筋肉痛と全身に重りを付けたような倦怠感それでも、ややすっきりした裏山を見ると、「よ~し、今回も勝ったな。かかってこいや~と、なぜかケンカ腰にまたやる気になってくるのだ。しだれ桜ももう少し大きくなれば、ホントに雑草刈りもいらなくなるかもしれないけど、それにはもう少し時間がかかりそう。おいらの雑草バトルもまだまだ終わらなそうなのだ。

雑草との戦いの場としだれ桜(桜は分かりずらいかも) 満開の桜を夢見る就寝ダメいぬコロン だいぶ成長したしだれ桜・ピンボケですいません
※10年、20年後にはきっと見事なしだれ桜の山になっているはず。皆さんもぜひお楽しみに。出来ればおいらが還暦の頃に一緒に桜を眺めつつ、ムハハハと笑って頂きたいのだ
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