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お恥ずかしい話ですが、寒くなってきたのでモモヒキを着用してみました。冷え症なおもて順です
10月に入ると、全国的にお衣替えとなる所が多いかと思います。おいらは、幼稚園や小学校低学年の頃は心配になって「本当に今日から衣替えなの僕だけ違う服を着てないよねと何度も母親に確認してから、衣替えの初日に出掛けた記憶があります
さて、一般的にお寺さんでも、夏と冬にはお衣替えが行われます。それは、おいら達お坊さんだけではなく、仏像のお衣もまた夏、冬でお着替えをする場合があります。おいらが所属する日蓮宗の総本山、身延山久遠寺でも10月1日と6月1日には、宗祖御更衣式(しゅうそごこうえしき)といって、おいら達の心のお師匠さま日蓮大聖人のご尊像のお衣替えを行っています。この行事は夕方6時から大聖人をお祀りする祖師堂(そしどう)と呼ばれるお堂で行われます。古式に則り、ロウソクのみのともし火に照らされながら、読経が響き信徒が見守る中をお坊さん達の手によって手早くお衣替えが進められます大聖人のご尊像に身に着けられるお衣は、全国のお坊さんや信徒の寄進によるものです。大聖人のご恩に報いたいと、寄進の希望者は後を絶たず順番待ちが続いている程です。今回の式は特に参拝者も多く、お堂に入り切れないような状態でありました
おいらも自分のお寺の大聖人の御尊像と、志摩房を開創された日傳上人の御尊像のお衣替えを行っています。ありがたい事に、おいらのお寺でも先代の親父とおいらの代でお衣を寄進して下さった方がおられ、上質の生地で仕立てた美しいお衣を夏冬共にお着せする事が出来ますちなみにこれらのお衣は地元のクリーニング店さんが奉納という事で、無償で毎回クリーニングをして下さいます。こちらのクリーニング店さんは身延山のおひざ元であるだけに、お衣のクリーニングに関しては天下一品の技術をお持ちです。任せて安心、ありがたい限りですまた、おいらの所ではもう少し寒くなると冬用の襟巻を首の周りにおかけしたりもします。さらに日蓮宗では、大聖人がご法難で眉間に刀傷をおわれた際、傷を癒す為に信徒が綿帽子を差し上げた故事に習い、11月11日のご法難の日より春先の間まで大聖人の御頭(みぐし)に真綿の綿帽子をおかけします。最近は、まったく日蓮宗をご存知のないお若いお客さんが宿泊をされたりします。そういう方が、初めて綿帽子をかぶられた大聖人のお姿を見ると、「す、すいません。日蓮さんは白髪の長髪だったんですか?」とか、「なんか白髪のアフロヘアに見えちゃって・・・ゴメンナサイ。」などと、罰当たりながらこちらも思わず吹き出してしまいそうな事をおっしゃったりします
     お衣替えが行われる久遠寺祖師堂     冬用お衣の志摩房の日蓮大聖人
おいら達お坊さんももちろんお衣替えをします。本来、お衣はお釈迦さまの時代には現在の袈裟(けさ)と呼ばれるもの3枚のみが着用を許され、別名を糞掃衣(ふんぞうえ)とも呼ばれるように、汚物を掃除したあとの使わない布や、道端に捨ててあったぼろ布を集めて縫い合わせて作った粗末なものでありました。今でもテレビで東南アジアなどのお坊さんのお姿が出たりしますが、ああいったイメージですですが時代が経ち、仏教が中国、韓国、日本等に広まるにつれ、土地の気候や国や宗派内の制度などにも合わせ袈裟は本来の意味とは離れ、現在のような法衣の形へと変わって行きました。
世の中の皆さんのイメージでは、お坊さんがお葬式などで身に着ける法衣はキンキラキンで派手なものだと思います実際、華美でとても高価な法衣もあります。ですが、おいら達が日頃身に着けている皆さんがよく見かける黒の法衣などは安価でとってもシンプルな作りをしてます。生地は正絹(しょうけん)などもありますが、ポリエステルなどの化繊で出来たものの方が多く出ているかもしれません。日頃着る法衣の夏物は、見た目も涼しげです。下に来ている白の白衣(はくえ)が透けて見える位、繊維の網目が広く縫製されています。おいらが都内でお経に歩いていた頃には、道行く女子校生に「キャ~、見て見て~。チョ~シースルー。」などとよく言われたのを思い出しますおいらは形見や頂いた法衣は別として、その他は化繊の法衣がほとんど。油断していると、ローソクの炎ですぐに穴が開いたりしてしまいます。ですが、化繊なので汚れてしまった時には、勝手に洗濯機で丸洗いをしてしまいます。穴が開いてシワが寄ったような法衣を着ていると、たまに愛妻に怒られたりもしています『人は見た目が9割』というベストセラーがありましたが、愛妻が心配するように見た目も大事なのかもしれません。
おいらが学生時代の修行中に大恩師の先生がよくおっしゃっていた言葉を思い出します。「世の中の人は、私達がお衣を身に着けているからこそ手を合わせてくれるんだよ。若い君達にさえ手を合わせてくれるのはお衣を着ているからなんだよお衣に手を合わせてくれていると言ってもいい。だから、お衣をまとっても恥ずかしくない中身を早く身に付けなさい今でも先生の大事なお言葉の一つとしておいらの心の奥底に焼き付いています。おいら達もお衣を脱げば、普通の人。洋服を着てしまえばお坊さんかどうかも分かりません。「今の自分にはお衣を着ていられる資格があるのか?」とお衣替えの度に反省をしているおもて順です

     冬用お衣の志摩房を開いた日傳上人     お衣替え後の夏物とお礼にクリーニング店さん商売繁盛祈願をしてます
※暑がりなおいらは、実は重ね着をするお衣はちょっと苦手なのです。
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